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ブログ

2020.03.27

金継ぎ展

いつも大変お世話になっている、世田谷工房主宰 赤平一枝先生主催の金継ぎ展が、今年8年ぶりにギャラリー櫟で開催されました。

とはいえ、このご時世ですから、表看板など一切なし、ワークショップを欠席される方もいらっしゃいました。

しかし、なんとか無事に会期を終えられて、本当によかったと思います。(会期3/21-24までの4日間、時間も11:00-17:00まで)

私は,会期中、二度ほどお邪魔して来たのですが、赤平先生直しの新羅時代の壺(ポスターになっている作品)や、生徒さんたちの素晴らしい作品の数々など、とても楽しく鑑賞させていただきました。

錆びついた茶釜に漆をかけて焼き付けたものや、鼈甲の茶杓に黒漆をかけて金で継いだものなど、『金継ぎ』のイメージするところを超えた作品も多く出展されていたのも、今回の特色だったのかもしれません。

こちらも勉強になりました。

次回も楽しみです。

作業中の写真は、ギャラリー久我の画像をお願いしているTomoko Osadaさんでこちらも見応えのある、素晴らしい作品でした。

ポスターになっているのが赤平先生直しの新羅時代の壺

ゆったりした会場です。

見えにくいのですが、鼈甲のお茶杓に中漆の茶釜。

茶入れの象牙の蓋も直しが入っています。

棗は、蒔絵も習っている生徒さんが木地から作ったもの。

茶杓の蒔絵は赤平先生、片側だけ漆をかけています。

Tomoko Osadaさんの職人技とセンスのひかる写真の数々

2020.01.31

[Event report] スティーブ・ハリソンのうつわと楽しむチーズの会 イタリア編

2020年、ギャラリー久我は、人気のイベントでスタート致しました。

Bon fromage主宰のJSAソムリエ&チーズプロフェッショナル、河西佳子先生が選んでくださる国別チーズを、お話とともに頂く会です。

おかげさまで、とてもご好評いただいております。

河西先生の豊富な知識は、その土地の歴史、土壌なども網羅しており、その分私たちもチーズへの理解が深まるというもの。

合わせる飲み物も、とてもチーズにあう、そして珍しいチョイスをしてくださいました。

今回は、イタリアチーズ編。

南北に長いイタリアでは、その食生活も異なります。

そのため、南北イタリアチーズにもそれぞれ大きな特色がありました。

バターをベースとした北イタリアの食生活から産まれるチーズ、そしてオリーブオイルをベースとする南イタリアで産まれるチーズ。

気候的にも、暖かいため、鮮度が売りになるフレッシュチーズが多い南イタリアに比べて、山がちの北イタリアのチーズ製作は保存のために、その製作工程も、もっと複雑で、手が込んでいます。

中でも、北イタリアを代表とするパルミジャーノ・レジャーノは、職人が製作の工程でほとんど休めません。そのため、パルミジャーノ職人だというだけで周りから大変な信頼を得、そしてパルミジャーノは銀行の担保にもなり得るとのことでした。

イタリア人にとって(特に北イタリア人にとっては)パルミジャーノは、日本のお出汁に匹敵するソウルフードであり、パスタや肉料理などにもなんでも削り、ふりかけてコクを出すのだそう。

それから、ホエーの扱い(チーズを作る際に出る水分、乳清)に関しても大変面白い話を伺いました。

なんと、ローマ時代の大カトーの時代から、100匹の羊に10頭の豚を飼うように(『農業論』)と言われていたのだそうです。

というのは、羊のチーズを作る際、出るホエーを、豚が食べることによって、ホエーの循環ができるからなのですね。

それは現代でも同じで、時々スーパーで見かける「ホエー豚」というのがそれ。

さて、今回合わせた飲み物は、モスト・ドゥーバ(Most d’Uva)。

こちらは北イタリアモデナのノンアルコールのいわゆるブドウジュース。収穫したばかりのぶどうを皮ごと55-65度で1−2時間ほど煮詰め、それを濾したもので、ポリフェノールや、ビタミンB1,B6,C,マグネシウム、カルシウムなどが豊富に含まれているとても体に良い飲み物なのです。

これは1:1に希釈していただきます。(原液でも美味しいです)

このモスト、私も初めていただきましたが、参加者の間でも大好評でした。

その他、いわゆる食後酒のパッシート、こちらはアルコール分が14度くらいありますが、甘口のこのワイン、ゴルゴンゾーラとの愛称はぴったりです。

チーズのお供として、枝付き干しぶどう、くるみ、バルサミコ、ぶどう果汁を煮詰めたコット(COTTO)など。

イタリアチーズは、日本でもかなり市民権を得ているチーズだと思うのですが、学んでみると深い深い!

全ての発酵食品は、その土地の環境に大きく影響されますから、奥深いのも当然ですね。

これからもチーズを通して、世界を旅して参りましょう。

スティーブ・ハリソンのうつわと楽しむチーズの会 イタリア編

*タレッジョ

*ゴルゴンゾーラ ピッカンテ

*ゴルゴンゾーラ ドルチェ

*パルミジャーノ・レッジャーノ

*ペコリーノ・ロマーノ

*アジアーゴ・プレッサーノ

*ロビオラ・ディ・ブーファロ

飲み物

*モスト・ドウーバ

*パッシート

2020.01.24

2020年、今年もよろしくお願いいたします

2020年、今年もよろしくお願いいたします

1月も終わろうとしているのに、年初のご挨拶が遅れてしまいました。
失礼いたしました。
今年も皆様、お健やかに、そしてよろしくお願いいたします。

1月のメインイベントは何と言っても先週末のお茶の初釜でした。なんとみぞれ交じりの冷たい雨の日になってしまったものの、無事に終了。
茶室は清々しいお正月仕様で、気分はピリッと引き締まります。
よく考えたら初釜も4回目。途中、先生のご都合でなかった年もありましたから、お茶の稽古も6年目を迎えようとしているんですね。
こうして、毎年同じイベントで新しい年を始められる幸せを感じています。

今年は東京オリンピックは開催されるし、2020年代が始まったり、と非日常感が満載。

しかし、だからこそ今年の私の目標は、環境を整えて、その結果としてやりたいことにスーッとチャレンジできるようにすること。

無理な頑張りは横に置いて、「平常心のままで、無理なくものごと進めていって、気がついたら到達していた」を目標にしました。

その目標のために一番大切なのは、「環境を整えること」。

自分の心身含め、周りの環境を整えよう!をポリシーに進んでいきたいと思っています。

2019.12.04

The Loft Pots 展 Preview

The Loft Pots 展 Preview

先のinformationでもお知らせした通り、11月28日のスティーブ・ハリソン個展The Loft Pots展プレビューに参加してまいりました。

プレビューは陽も落ちた18時スタート、まずは6時半の映画上映までそれぞれスモールトークを楽しみます。今回は,Nigel Slaterさんから、ロンドンセントラルで素敵なティーショップPOSTCARD TEASを経営されているTimさんをご紹介いただきました。

そうこうしているうちに階下へ移動し、まずショートフィルム、ORANGE PEELの第一回上映がスタート。

このORANGE PEELは、スティーブと長い付き合いのある写真家、Richard Cannon氏がウェールズの窯まで出向いて、その作陶の情景をフィルムにしたもの。私も8年前ほどに、1泊2日で伺ったことのある懐かしいウェールズの窯の光景が出て来て、改めてその進化具合いに感じ入りました。

このフィルムの中で一番ある意味ショッキングだったのは、出来上がった作品をスティーブが精査して、あるものはそのまま割ってしまうシーンだったのではないでしょうか。

塩釉作品の歩留まりは決して高くないのに、そこからまた自分のフィルターをかけて落としてしまう作品があるから、結果的に自分が認める作品数は決して多くないのだ、というスティーブの常日頃の言葉をまさに体現しているシーンだったと思います。

タイトルのORANGE PEELは、塩釉が、オレンジの皮みたいに見えること、そしてfiring(焼き)の色がオレンジ色にも見えるというダブルミーニングなのではないかなと想像します。

フィルムの後にはQ&Aコーナーもあって、熱心な陶芸家たちからの質問にスティーブが答えていました。

 

ORANGE PEEL上映後のQ&A

フィルム上映後は今度は同じ建物の上階に上がって、いよいよスティーブが、カードボードで作成したウェールズの窯を模したものの扉を開きます。

そこには2000-2019年までの、スティーブのアーカイブポットが整然と並べられ、来客は一斉にスマホを片手に画像撮影スタート!

Fantasy Kilnとスティーブアーカイブの作品(2000-2019)

プレビューでは、Fantasy Kilnをお披露目した後、ルーフトップでシャンパンが振舞われました。そこには椅子やテーブルなども用意されているので、ここでようやくゆっくり色々な方達とお話しすることもできました。

その中の一人が、Covent Gardenで素敵な文房具店Choosing Keepingを経営されているJulia。彼女の店では贅沢なことに什器にスティーブのテーブルやペンホルダーを使っています。スティーブと楽しい企画も進めているようで、今後が楽しみです。

今回の展覧会では図録が作成されました。

この図録の作りですが、もともと本が高価で,購入した人だけが読めた時代へのオマージュとして、全てのページが袋とじになっています。いちいちペーパーナイフで切り離さなければ作品写真も見られない、ということ。モダンでありながら、クラシックでもあるスティーブらしさ全開です。

 

スティーブ2019作品群
図録 Steve Harrison The Loft Pots: Firing , Selection and Contemplation 2000-2019
ORANGE PEEL by Richard Cannon

楽しい夜は更けていき、10時をすぎてもなかなかみんな席をたとうとしないのが印象的でした。

スティーブの個展は始まったばかり。このまま年を超え、1月25日まで開催です。この時期にロンドン訪問の予定のある方は是非Blue Mountain Schoolをのぞいて見てくださいね。

  Blue Mountain School

2019.10.15

TIMELESSな美について想いを馳せる

季節は長い夏を経て、ようやく秋めいてきたと思ったら、10月に入ってから大型台風の襲来で迎えた3連休でした。

台風の爪跡もまだそこかしこに見られます。皆様の穏やかな暮らしが1日でも早く取り戻せますようにと祈らずにはいられません。

前回のブログはまだ夏真っ盛りの記憶を綴りましたが、今はもうすっかり秋。朝晩は20度を割り込むようになりました。

9月の最終日、30日に友人の田中敏恵さんが企画された『TIMELESS時を超える美と言葉』というイベントに参加いたしました。このイベントは、東京、西新宿のパークハイアットホテル25周年を機に企画され、以前からパークハイアットをこよなく愛していらっしゃる作家の吉田修一さんが、ホテルに滞在されながら上梓された『アンジュと頭獅王』発売を記念し、開催されたもの。

田中敏恵さんと吉田修一さんの物語誕生秘話に関する対談、その後は、文楽協会技芸員の太夫・竹本識太夫氏と三味線・鵜澤清志郎氏による浄瑠璃『安寿とつし王』の一節を義太夫節で拝聴するという、なかなかの内容です。

ホテルのバンケットルームのような比較的小さなスペースで聴く義太夫節と三味線、圧巻の響きでした。まるで自分もその時代にワープしてしまったかのような心持ちになります。

今回のイベント、テーマが『TIMELESS』ということもあり、私にとってのタイムレスな美とは何だろう、と再考する良い機会になったように思いました。

対談の中で、吉田修一さんが定義づけた「美とはためらいのないこと」には賛同しつつ、美が歴史の中で常に「ためらいがなかったのか?」と言われれば、わかりません。その美のために、時には死に至るためらいのなさも過去にはあったのかもしれません。

例えば宗教みたいなある種の規律や思考を「美」と定義づけることによって「美とはためらいのないこと」としてしまうと、過去においては、十字軍の遠征、キリスト教の新旧の信者の争い、現代においてもイスラム教との戦いなども「美のためにためらわず」と、容易に説明されてしまう危うさをはらんでいる気もしてきます。

かように「TIMELESSな美」の定義づけは難しいな、と思うのです。

しかし、一方で1000年も昔の『源氏物語』の中で、恋しい人へ香を薫きしめた手紙を、花とともに送る、こういう行為を、1000年後に生きる私たちも「美しい」と感じます。日本人の感性は1000年も変わっていない、ということなのでしょうか?

1000年前の感性を、現代に生きる私たちがそのまま受け取ることができる、これぞまさしく『TIMELESSな美』の一つなのかもしれません。

それと同時に思い出したのが、昨年金沢の陶芸家と、江戸時代に長崎の出島で創業したドイツの商社、その4代目社長との会話です。私は通訳として入ったのですが、その時の会話がとても興味深かったので、メモしておきました。

テーマは、美という字は大きな羊と書くがそれは何を意味するのか?

陶芸家の方から投げかけられた質問でした。ドイツ人に向かって「あなたはどう思うのか?」と。

色々な会話が飛び交ったのですが、最終的にお二人はこのような結論に至りました。

美の定義とは

・みずみずしいことーそれはfreshではなくもっと深い意味を含む

・決して色褪せない普遍的なもの

・時の一番の権力者に受け入れられるもの

これらの要素を含む大きな羊は、群れの中にいてもその大きさゆえにすぐ誰にでもわかる。

それゆえ大きな羊が美という字になったのであろう。

今こうして書き起こして見ると、大きな羊、と書く「美」はなにやら権力と結びついた、どちらかというと危うさをはらんだ方向に近い気がしてきます。

こうなってくると観念的な「美」と感性的な「美」はオーバーラップさせない方が良いのかな、という気もしてきますね。

時代と時間を超えた美しさ、TIMELESSな美、その時々で考えていきたいテーマです。

 

(画像は発掘品の水牛の赤ちゃんー時代がたっても動物の赤ちゃんの可愛らしさは普遍に感じられます。これもTIMELESSな美の一面なのかもしれません)