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2023.01.20
2023年もよろしくお願いいたします
皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
今年もGallery Kugaを何卒よろしくお願い申し上げます。
年末カードをお送りした方にはご案内したのですが、今年、Gallery Kugaでは昨年から続く10周年記念企画の総仕上げとして
Steve Harrison artbookの発売を予定しております。
また詳細は、追々こちらでまたご案内させていただきますね。
現在、絶賛製作中です。
2022.12.16
[Event Report]レザービスポークの会 鮎藤革包堂xGallery Kuga
珍しい革をたくさん持ってきてくださってお話をしてくださったのは、神楽坂で鞄工房を営む鮎藤革包堂の鮎澤剛(あゆさわ つよし)さんです。
鮎澤さんとは、共通の友人からのご紹介で知り合いました。
数年前から、ご紹介したいと言われていたのですがなかなかタイミングが合わずお目にかかることが叶いませんでしたが、 今年の夏前に一度工房へ伺わせていただいた際、「これはギャラリーでイベントをお願いしたい!」とすぐにピン!ときましてお願い致しました。
鮎澤さんが鮎藤革包堂を始められたのは2006年。
和裁師としてお家で仕事をされていたお母様の周りに漂う、静かで凛とした空気感に惹かれていたことが原点だそうです。
鮎澤さんの場合は、興味の対象が布ではなく革だったわけです。
探究心旺盛な鮎澤さんは、革工房で5年間修行をして最終的にはカーフだけではなくオーストリッチやクロコダイル、爬虫類も扱えるようになりました。
その結果、平成24(2012)年度新宿ものづくりマイスター「技の名匠」認定 平成27(2015)年度優秀技能者(東京マイスター)知事賞受賞されました。
鮎澤さんが工房を開くにあたって、もう一つ忘れられない光景があるそうです。
それは森永製菓ハイソフトに入っていた小さなカード。
ウィンドウ越しの店内で職人が仕事をしていて、奥に靴が並んでいるヨーロッパのどこかの街の写真がカードになっていたそうですが、 そのカードが、鮎澤さんが職人になる気持ちをあたためるきっかけになったとのことでした。
なんだか目の前に光景が浮かび上がってくるようなエピソードですね。
レザービスポークの会では、鮎澤さんが持ってきてくださった革のお話、そして手縫の実演を皆様に見ていただきました。
「革」という漢字そのものが革の形から来ているのですね。
やぎ、羊、トカゲ、ワニ、オーストリッチ、さめ、ヘビなどなど原寸で見せていただきました。
日頃、動物の大きさなど考えたこともなかったのですが、こうして見せていただくと感慨が湧いてきます。
鮎澤さんの工房では、クロコダイルなどの特殊な革は、ワシントン条約で認められている革、きちんとナンバリングされて管理された革のみ扱っているそうです。
革の特質のお話もまた面白く、知らないことだらけでした。
例えば、ヘビとワニの脱皮の仕方の違いや、ヘビを養殖するには、プールに餌だけを置いておくとどこからか蛇がやってきて餌を食べた後はまた森に戻る(半養殖というそうです)などなど「へえーっ」と声を上げてしまうエピソードが満載でした。
また革という「いのち」をいただくことに関して、また別の見解を伺うことができたことも大変勉強になりました。
象の捕獲が問題になっていますが、保護している象が増えることによって別の問題が発生することもあるとのこと。
例えば、ジンバブエの国立公園で保護されている象が、次々に木を倒す。そうなるとその木に住んでいる絶滅危惧種の鳥の行き場がなくなってしまう。
なので、象の頭数制限をして、革にして売ってその売上を国立公園保護費に当てるというシステムになっているそうです。
そのようなバックグラウンドを聞くと、ただ「革」を使うな、動物は保護せよ、という意見は乱暴に聞こえてしまいますね。
「革」を使う私たち一人ひとりが、「いのちをいただいている」ことに意識的になることで、何かが変わっていくのかなと思いました。
お話に引き続き、革の手縫のデモンストレーションを見せていただきました。
フィラガンと言う発色の良いフランスのロウビキ麻糸(日本のものの5倍のお値段がするそう!)で革を2本の針で塗っていくところを見せていただきました。
糸を針に通して、玉を作らないよりを作ることから、もう私には一体どうなっているのかわからずです。
手縫いや革の切断などに必要な道具も持ってきてくださったのですが、またその道具が美しく、手入れが行き届いているのがわかり、そんな脇役を見ても鮎澤さんの革への愛情が伝わってきます。
参加者の皆さんからは、いろいろな質問も出て、鮎澤さんご自身も良い刺激になったようです。
そして参加者の皆様からは、会終了後、お喜びのメッセージを頂戴いたしました。
現在、鮎澤さんの工房で制作オーダー受付は約2年待ち、オーダーを受けられる時が来たら、鮎澤さんから打ち合わせのためのお葉書が来るそうです。
そんなアナログなやり方も誠実な鮎澤さんらしいな、と感じます。
来年からも年に2回は鮎澤さんのお話を伺う会が開催できそうです。
気になる方はcontactよりご連絡ください。
参考図書 「わたしをひらくしごと」野村美丘 (アノニマ・スタジオ)
2022.12.07
企画展「線とかたち2022」を終えて
ご来廊の皆様に厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました。
この企画展は「線とかたち」と銘打ち、国と時代をクロスオーバーさせています。
考古発掘品であるという共通項のみで、時代は石器時代、メソポタミア、エジプト、ローマ、エトルリア、ギリシャ、ペルシャあり、今回は中国にもまたがり、ほぼ全世界を網羅することとなりました。
全出品作品は、古代の「線」が作った「かたち」に見どころがある考古発掘品であることが展示の条件となっています。
毛涯さんは昨年展示が終わってからすぐに、今年のための仕入れに取り掛かってくれています。
1年かけて仕入れをし、この「線とかたち」のテーマに見合う展示内容を編集してくれました。
ご来廊のお客様は、出品物に関する毛涯さんからの説明を、大変興味深く聞いていらっしゃいました。
古代の「線」が作った「かたち」が奏でる物語を、お客さまが会場で出品者から聞くことで、この展示が完結します。
特に、今回の展示に予備知識なしでいらした方々が説明を聞き、大変興味深かった、面白かった、歴史の厚みに圧倒された、などの嬉しい感想を寄せてくださいました。
ギャラリー久我では今年も今回の展示の図録を制作、特に今年は大胆に古代の「線」と「かたち」にフォーカスしたものを制作いたしました。
撮影に関しては、出品物に関する事前説明なしで、Tomoko Osadaさんに撮影してもらいました。 いつも撮影をお願いしているTomoko Osadaさん。今回も、じっくり時間をかけて出品物と対峙し、「線とかたち」を切り取り、浮かび上がらせてくれています。
図録は、昨年よりかなり多めに制作しましたが、ありがたいことに会期が終了した後も通販などでお求めくださったお客様もいらして、現在完売しております。
企画展「線とかたち」は、また来年へのスタートを切りました。
2023年は、どのような「線とかたち」が展開されるのか、私自身も大変楽しみです。
ご来廊の皆様、図録をお求めくださった皆様、そして何よりも出品者の毛涯達哉さんに改めまして感謝申し上げます。
ありがとうございました。
「線とかたち2022」展示品(一部)
2022.11.25
[Event Report] Emily Jo Gibbsイベント
ただ、大変残念なことにエミリーが連日のハードスケジュールで(丹後の方まで職人訪問したりなど)体調を崩してしまったため、 イベントそのものはエミリーなしで開催することとなりました。
エミリー不在もイベント当日朝にお知らせする形となってしまい(本人もギリギリまでイベント参加の道を模索していたため)皆様にはご迷惑をお掛けしてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。
ただエミリーは感染症ではなかったので,ホッとしました。
エミリーは、このイベントのために素材や作品などを用意してきてくれていたので、最終的にはとても見応えのあるイベントを開催でき、ご来廊の皆さまにもお喜びいただけたご様子なので、こちらも本当に安堵いたしました。
このブログでは、イベント翌日、体調を少し回復したエミリーの画像も載せながら、その素晴らしい世界観に触れたいと思います。
エミリーの作品については、1993-2006年までのバッグを制作していた第一期、そして2005ー現在までのシルクオーガンジーを使用したポートレート制作の第二期と分けて考えられます。
第一期は、それこそファッション界で、ラグジュアリーハンドメイドのハンドバッグデザイナーとして主にアメリカ、日本市場でも活躍していました。
しかし、その後主にお子さんをご出産されたことで私生活でのバランスも変わったことをきっかけに、いつも追い立てられるようであったファッション界からは身を引きます。
その後、生まれたのが自然を観察することから生まれたネイチャー・テーブルと呼ばれる一群の平面作品でした。
そしてそれが、同じ手法で人物のポートレート(オーダーを主とする)、そしてValue of Making (作ることの価値)シリーズ、職人とその道具シリーズに発展していったのです。
今回、エミリーの平面作品をじっくり見る機会に恵まれましたが、なんといってもその繊細なモチーフと色合わせ、そして丁寧な仕事が美しく、心に残りました。
エミリーの作品は素材選びから始まっています。
彼女は、色はそれほど多色使いはしませんが、素材を重ねることによって、作品に奥行きと深みを持たせています。
地の素材によく使われているのがtwil linen(麻)ですが、皆さん、これほどしっかりと目が詰まった麻素材は日本では見つける言葉できないとおっしゃっていました。
そこに、シルクオーガンジーのパーツを切って、ステッチで縫っていき、そこにまたフィルター的にシルクオーガンジーをかけます。
ひきつれなどは全くなく、それは枠を使わずに作業をすることでふんわりした感じに制作できるのだそうです。
ステッチの糸も刺繍糸ではなく、綿ミシン糸(coatsという会社のものがお気に入りだそうです)を使い、繊細に仕上げています。
シルクオーガンジーの色ヴァリエーションの豊富さも素晴らしく、全体的には淡い色調ですが、それを重ねることにより濃淡を出し、作品にリズム感を与えています。
これらの素材も、日本で手に入れるのは難しいのだそうですが、エミリー曰く、豊富な素材は韓国で見つけることができるのだそうです。
エミリーは、今はバッグ作りはメインにはしておりませんが、拙ギャラリーのお客さまのためのバッグは受注でオーダーを受けてくれます。
今回、バッグもアーカイブから、数点持ってきてくれたのですがそれがまた大変素晴らしい作品ばかりでした。
エミリーが自分のUSP(ユニークセールスポイント)は、メタルワークができるから全てを自分で作ることができる点なのよ、と言っていました。
どのような意味かというと、エミリーは元々のバックグラウンドが刺繍ではなく(刺繍は、エミリーがお母様から習った程度だそう) 大学ではウッドメタルや、プラスティックを学び、短期間ですが靴作りや革細工を学んだそうです。
しかし、そのような多種にわたる素材を扱うことができるため、バッグ製作においては全ての必要なパーツを、自作することができ、これが自分の強みなのだということでした。
要するに、パーツまで自作できるということはコピーされない、ということにつながるのです。
しかもエミリーが学んだのは、ジュエリーが作れるようになるくらいの繊細なメタルワーク。
(ジュエリーも1、2点作ってみたことはあるが、not for me(自分にあってない)だったそうです)
なので、繊細なハンドバッグのフレームやクラスプにはピッタリだったというわけです。
エミリーのバッグにおけるもう一つの素晴らしいポイントは、必ず良い素材を使うということです。
例えば、今は手に入れることが難しいインドシルク素材、またパーツに関しては、繊細なフレームがホールマーク入りのシルバーだったり、良い色味の真鍮だったりすることで、また作品にグッと厚みを与えています。
まず何よりも高級感があります。
パッと見ただけではとてもシンプルに見えるのですが、それがシンプルに見えるための見えない努力が施されている作品です。
また刺繍に関していえばぎっちり刺繍しているわけでもなく、良い意味での「抜け感」があるので、見ているこちらもリラックスすることができます。
刺繍の作品は、ものによっては見ているこちらが行き詰まってしまうくらいの高密度のものも多いので、どれだけ「抜け感」を作るかは大切なポイントのような気がします。
エミリー作品は、手数は少なく色数も限定され、シンプルでありながらも、上質な素材を使い、真の贅沢はまさにここにあり、を体現している作品ばかりです。
今回は、エミリー自身によるデモンストレーションも予定しておりましたが、次回もし叶うのであればワークショップやトークショーなども企画したいなとしみじみ思いました。
2022.11.17
[Event Report]「スティーブのうつわと楽しむチーズの会」2022秋の会
講師は、毎回お願いしているBon Fromage主宰の河西佳子先生です。
今回は、チーズとワインの会が4回、チーズと紅茶の会が1回でした。
チーズは年末年始に楽しめるご馳走チーズがメインとなりました。
●モンドール Mont d’Or
●エポワス Epoisses
●ブリアサヴァラン アフィネ
●ブシェット トリュフ/ミエル
●トーマ白糠 / 笹ゆき
メインチーズに加えて、その日ごとのボーナスチーズが加わり、それが当日のお楽しみチーズとなりました。
ボーナスチーズ
11/3
●パヴェダフィノア トリュフ
●コンテ 12ヶ月熟成と24ヶ月熟成
11/6
●パリエッタ コン タルトゥフォ
●ペコリーノ・ディ・アマトリーチェ
11/13
●リコッタフレスカ
●トミーノフレスコ 蒜山ワイン&イチジク
●ペコリーノロマーノ(こちらは本場、シチリア産)
ワインは、シャンパン・スパークリングワイン、それにドイツ赤ワイン
●マキシム・ブラン ブリュットカルト ブランシュ
●ベルンハルトコッホ シュペートブルグンダー2019/2020
●グラハム・ベック・ブリュット
●フリードリッヒ・ベッカー
●ソアーヴェ クラシコ ピエロパン
●七賢 生酒
ノンアルコールドリンクとしては、シードルにダージリンのアイスティー(無糖)
●ペピネルフレッシュ2021 ロゼシードル
●F&Mダージリンアイスティー
チーズとワイン、チーズとシードルなどの相性の良さもさることながら、美しいうつわと共に、美味しいチーズに関するお話や説明を伺いながら良い時間を過ごす贅沢さにこそ、この会の面白さがあるのかな、と思いました。
毎回ご参加くださる方には本当に感謝です。
これからもなるべく多くの皆さまとこの楽しい時間を共有できたらなと思っております。
また次回のチーズの会で皆様とお目に掛かれますように。
今後ともよろしくお願いいたします。
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