ブログ
2021.12.28
ロンドン点描 Part2
南ロンドンのペッカムにあります。
創作インスピレーションの元になるのであろう興味深い自然物があちこちに。。
その後お茶を頂いたご自宅キッチンはクリエイティブに溢れていました。
今回大変お世話になったジャーナリストMさんのご自宅は、世界的に知られるガーデンデザイナーDan Pearsonさんの旧邸。
Brixtonは今回初めていったエリアでした。
Oxford circusから歩いていけるPACE GALLERY.
今回、こけらおとしは奈良美智の個展。
大きな作品がたくさんあり、見ごたえがありました。
ロンドン一背高のっぽビルのシャード
ロンドンアイがライティングされていてきれいです。
ロンドンの象徴、Big Benは只今修復中。
完了は来年の予定だそうです。
2週間強のロンドン滞在中は、長らく会えなかった友人たちや、作家たちにもあったり、新しい出会いがあったりかなり盛りだくさんではありましたが、思い切ってでかけてよかったと思っています。(隔離期間はあったものの)
今回の出会いをまたギャラリーでの活動につなげていけるよう、頑張っていきたいですね。
2021.12.28
ロンドン点描 Part1
最後の海外渡航が2019年の奇しくも11月ロンドン行きでした。
11月半ば過ぎからのロンドンは、午後4時半にはもう真っ暗。
でも、街はクリスマスを控えてホリデーモードになり、イルミネーションの美しいシーズンを迎えます。
そんなわけで、今回のロンドンスケッチを画像とともに振り返ろうと思います。
上空から見たロンドン。懐かしいテムズ川。
ロンドン到着は水曜日。金曜には英陶芸家・Steve Harrison宅へ。二年ぶりの再会を喜び合い、お互いの近況を語り合ってきました。
土曜のポートベローマーケットで、旧知のアンティークディーラーと。新しいパピーちゃんと一緒でした。
家の近所のハムステッドヒース
街中のクリスマスイルミネーション
それぞれ趣向を凝らして個性的。
夕方のナショナルギャラリー
レオナルドの「岩窟の聖母」
神々しくてありがたい。。
華やかなデパートのディスプレー
Liberty, F&M
私が大好きな本屋さん、FOYLESもクリスマス仕様でした。
Steve Harrisonの個展も開催したコヴェントガーデンにあるとてもおしゃれな文房具屋さん、Choosing Keepingのクリスマスディスプレーも素敵です。
今回スタッフのElaanorとも会えて話ができてよかった!
2021.12.27
「線とかたち」を見る
皆様にとっては、今年はどんな年でしたか?
奇妙で過ぎ去るのが早かった2021年。
コロナ禍は今年も続きました。
12月に入って、また新規株が世間を騒がせています。
世界はこのままwith またはafterコロナの時代を迎えるのでしょうか?
今年二回目の企画展「線とかたち」展終了後、わたしなりに感じたことをブログに書いておこうと思っていたのに、気づけば1ヶ月以上が立ってしまいました。
展示後、あまり時間を置かぬまま二年ぶりに渡英。
帰国後は6日間の施設隔離も含めた2週間の隔離期間があり、ようやっと隔離期間を終えたら12月も半ばを過ぎておりました。
ということで、タイムラグはあるものの、わたしなりの「線とかたち」展に関する感想をまとめておきたいと思います。
今回、渡英した際、大英博物館をじっくり見てきました。
自分でも驚いたのが見え方に関する劇的な変化。
大英博物館の展示では、今回の「線とかたち」展に出品されていたものと同じような展示物にすうっと引き寄せられていきます。
簡単にいえば「追体験」
英語でいうと find-detectと言うらしいのです。
そうか、よく見るってことは、質の高い追体験ができて、しかもfind(発見)もあるのね、と思いました。
●アラバストロン
紀元前6−5世紀 キプロス
半透明のアラバスターという素材はギリシャでは採れない素材です。
ですからこの素材が採れるエジプトからキプロスへ輸出された可能性が高くなります。
エジプトで採れたアラバスターが輸出され、キプロスで加工されたか、またはエジプトですでにこの形に作られ、輸出されたかのいずれかということになります。
このような容器は香油や香料の保存や運搬に利用され、アラバスターの素材そのものの、「アラバストロン」と言う呼ばれ方をしました。
アラバストロンの所有はその持ち主が金銭的に高い地位にあったことを表明するものだったようです。
例えば遺体に香油を塗った後、あの世で使うための副葬品として、この高価な容器は中身ごと墓に納められたのだそう。
大英博物館では、アラバスター素材を持つことのできなかった人々のためにクレイ(粘土)で作られたアラバストロンも展示してありました。
アラバストロンには見せかけの把手がついていますが、これは単純に装飾のためなのでしょうか?
謎はつきません。
●新石器時代、石鏃 紀元前9000-5000年 モロッコ
新石器時代ですから、9000-5000年前です。
やじり、ですから矢の先に装着して用いる石器なのですが、この石鏃はモロッコから出土したもの。
しかも、きれいなものが集められているので、間違いなくコレクターが編集した石鏃セットのようです。
面白いことに、日本の同じ時代に同じ石鏃が生まれています。日本の場合は黒曜石が素材として使われていることが多いようです。
この石鏃セットには、古代の「線とかたち」を強く感じます。
9000年前だとすると、今から11000年前。
そんな古い人類の黎明期に作られた、実用の道具の中にある美しさ。
古代の「線とかたち」からみえてくる体感できる美しさがそこにあります。
素材も、宝石のような上質の石(コーネリアン、チャート)に緻密な加工が施されています。
*チャート 堆積岩の一種 緻密で硬い岩石
●帝政ローマ時代 純金の指輪 紀元1−2世紀
ようやく紀元後になりました。紀元1−2世紀の帝政ローマ時代の純金リングです。
この時代には24金というのは存在していなかったそうで、おそらく含有物が8%位入った22金くらいではなかろうかとのことです。
同じようなリングで3連にエジプト神イシス、ハルポクラテス、セラピスが刻まれたものが橋本コレクションで見ることができます。
*THE RINGS橋本コレクション 2014 国立西洋美術館 P118 NO 125
このリングに刻まれているのはイルカ。愛と平和の象徴です。
イルカがモチーフとして刻まれいているのは珍しいのだとか。
とても小さなリングですが、小指の第一と第二関節の間にピタッと収まります。
イルカはシール(印鑑)だったのかもしれません。
しかも女性のシールだったのかな?
このリングは面がいくつも作られていて、光が乱反射します。
シャープでエッジの効いた線がいくつも作られて、それがかたちとなっているので、まさに「線とかたち」を体現しているかのようなリングだなと思いました。
そしてそこにイルカ。
それほど緻密でなく、ゆるい絵付けですが、それがなんとなく現代とのつながりを感じさせてくれるようでもあります。
古代の「線」がつくった「かたち」。そこには古代の人々の生活にまつわる息遣いが感じられます。
古代の「かたち」、を通してこんなにも歴史が、色鮮やかにそして身近に感じられる経験は、実に貴重なものでした。
この得難い経験を、来年にもつないでいきたいと思います。
(私的な関連書籍がどっと増えそうな恐ろしい予感がします。。。)
最後に、出品者の毛涯達哉さんに心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。
2021.10.29
「線とかたち」の立役者
設営もほぼ終えて、後は細かい調整が残るのみ。
出品物の各々の美しさもさることながら、ここで、その美しさを引き立てる影の立役者について記載しておこうと思います。
影の立役者とは一体何のことを指すのか?
それは台座です。
今回、毛涯さんに展示をお願いすることの決め手の一つとなったと言ってもいいもの。
それは彼のセンスあふれる自作の台座でした。
台座というのはまったくもってばかにならないもの。
いわば絵に対する額縁のようなもので、額縁がよければ絵をぐっとひきたてることができるように、同じことが台座にも言えるのです。
考古美術品は立体です。
その立体はそのままでは扱いに困ってしまうでしょう。
そこに収まりの良い台座が来ることによって、はじめて我々はその考古品をゆっくり眺めたり、お気に入りの場所において愛でることができるようになるのです。
我々が生きるモダンライフに突然考古品がやってきても、なじませるための一手間がなければ、床に転がしておくわけにはいかないし、結局は箱に入れてしまいこみ、最後には購入したことでさえ忘れてしまう状況に陥らないとは限りません。
でも、どうでしょう?
もしそこに、考古品にぴったり台座があれば?
そう、それなら我々のデスクの上に置くことも可能、窓辺に置くこともできる、などなど急にオプションが無限大に広がるのです。
考古品を買い付けてくる本人が、それに合う台座を作るのですから、良いものができるに決まっています。
台座のついた考古品はますます輝きを増しています。
聞けば、毛涯さんも、最初から台座を自分で作っていたわけではないようです。
骨董業界に台座を作る職人さんは二人ほどしかいないため、お願いしてもいつ注文を受けてくれるかわからない状態だったので、自作を決意して今に至る、とおっしゃっていました。
しかも数を作っていくうちにどんどん進化発展していかれたそうです。
毛涯さんは台座の材料に真鍮を使い、それを自由自在に染めたり、鑞付けしたりしていろいろな「モノ」が収まるすばらしい台座を作っています。
今回の展示でも彼の台座によって、良さが最大限に引き出されている出品物がたくさんあります。
展示に来廊してくださる方は是非、素晴らしい台座にも注目してみてください。
皆様のご来廊を心よりおまちしております。通常とは違い、企画展中はノンストップ、予約不要です。
企画展「線とかたち」
10/30(SAT) – 11/7(日)
11:00-18:00
ギャラリー久我にて
2021.10.08
「線とかたち」展 10/30-11/7
出品者は、ロシア・サンクトペテルブルグ在住、ご実家のある世田谷を行き来しつつ精力的にご活躍中の骨董商・毛涯達哉さん。(神ひとケモノ主宰)
彼との出会いは偶然でした。
たまたま、毛涯さんが扱った発掘美術品をわたしが個人的に購入したことがきっかけです。また、更に拙ギャラリーと毛涯さんのご実家が近かったということで、一度遊びに来ていただき、いろいろなお話を伺いました。
毛涯さんの実にユニークな体験を伺った後、拙ギャラリーで展示をしていただきたい!という気持ちが湧き、その旨毛涯さんにすぐお伝えしましたところ、ご快諾いただきました。
1月に発掘美術品を購入させていただき、2月にお目にかかり、秋の展示をご一緒することが決まったので、マッハスピードです!
このブログでも何度も書いておりますが、わたしが小学校の時に大好きだったNHKテレビ番組「未来への遺産」。
失われてしまった古代遺産を巡る、この番組に恋い焦がれて、将来は古代遺跡発掘をしたいと、本気で思っていた時期もありました。
残念ながら、その後は古代遺産の道とは全く異なる人生となりましたが、その憧れは常に私の心の中にあり、よって「未来への遺産」本5冊も、海外引越の際にも持ち歩き、今でも手元に大事に保管しています。
ということで、私にとっては毛涯さんとの出会いはほぼ運命と確信。
拙ギャラリーが古代発掘美術品の展示の場所になるなど、まるで夢のようです。
お客様にとっての素晴らしい展示であることが一番ではありますが、何しろ私自身が嬉しく興奮しています。
リストを見ても、メソポタミア、バビロニア、古代ローマ、エトルリア、ビザンツなどなど、幼少の私の心を憧れで満たした古代文明のネーミングが並び、出展リストを見ているだけでも、心がワクワクしてきます。
画像)把手付杯(紀元前3000年記 地中海東岸)
タイトルの「線とかたち」に関して
タイトルは私が決めたのですが、今回の考古発掘美術品展示販売に関しては、時代や国で区切りたくないなと思っていました。
というのは、時代や国で区切る展示は、他にいくらでもあるから、私と毛涯さんがタッグを組む意味は別方向で持たせたいと思ったことが一つ。
それからいわゆる骨董には独特の線があって、その線が形を作っていくのだから、時代時代の「線」を見極めることが大事という考え方があることも理由の一つでした。
それならば、古代の「線」が「かたち」を作る、そのプロセスを感じ取れる展示にしてみたら面白いのではないか?
いずれにせよ、出品される発掘考古品は、紀元前5000年くらいの縄文のものから7−12世紀のビザンツあたりと幅広く、国境も軽々飛び越えています。
その古代の「線」が「かたち」となったものに、私達はどのようなことを感じるのでしょうか?
是非会場で、実物と対峙し、感じてください。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
*今回の「線とかたち」展の図録を会場で販売いたします。(¥3000 B6サイズ 128x182mm 厚さ6mm P64)
「線とかたち」
10月30日(土) 〜 11月7日 (日) 11:00−18:00
会場: ギャラリー久我
予約不要
DM ご希望の方はcontactより必要事項をお知らせください。
よろしくおねがいいたします。
カテゴリー
最近のブログ記事