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ブログ

2019.06.27

旅の効用

先週、関西方面に短い旅をしてきました。

身軽な一人旅で、特に予定も決めずにふらりと出かけてきました。

元々は、大阪の東洋陶磁美術館で6月末まで開催中の『文房四宝』展を見たくて、日帰りするつもりだったのです。

ところが、思いがけず、滋賀の山中にあってなかなか行きにくいMIHO MUSEUMにも行けることになったので、これ幸いとばかりに二泊三日で出かけることにしたのでした。

 

先日102歳で永眠されたI.M.ペイの建築によるMIHO MUSEUMは桃源郷がコンセプトになっているそうですが、確かに長いトンネルを抜け、吊り橋を渡ると出会えるミュージアムはそのイメージそのもの。

館内に入ると松を通して遠目に見える山々の連なりがまた美しく、思わず見入ってしまいます。

MIHO MUSEUMの創設者が美しいものを求め、それに触れることは精神の高みをもたらし、ひいては美しい社会を生み出すという信念を持っていたことに加え、宗教・哲学的な意味合いを大事にされていた方だったようで、館内の神仏のしつらえに、その敬虔な想いを感じ取ることができました。

ミュージアムを堪能した後も、滋賀県を少し回りました。

お菓子のたねやさんのファーム、と言えばいいのでしょうか、お菓子屋さんが点在した広い敷地に、水田があるのが印象的でした。

こういう水田は、やはり日本人の原風景なんだなあ、としみじみ感じ入り、土の香りにもある種の懐かしさを感じます。

 

 

最後は近江八幡の水郷に遊んで帰途につきましたが、菖蒲が全開、それは美しい景色です。

樹々の影が川面に映り、そこに誰も乗っていない小舟が浮かんでおり、これぞ「もののあはれ」を感じる光景、いや、むしろ幽玄の光景であるかのようにも見えます。

 

 

 

 

今回の旅の目的であった『文房四宝』展は、最終日に行ってきました。

これはまた素晴らしい展示で、何と言ってもインパクトのあったのは、展示物が全て国内のコレクターの方々からの出品であったということでした。

どうりで硯も大仰なもの、というよりは繊細なものが多かったはずです。

これはあくまで日本人好みの文房四宝なのだな、と心底、納得しました。

 

 

どんな文化も切り取り方一つで見え方が異なってきます。編集の仕方で見え方も変わってくるのですね。

私たちが美しいと思うもの、こと、は私たちの独自の感性によって切り取られ、組み立てられていく。その背景には、私たちが生まれ育った環境もあり、文化的なものも当然影響してきます。

その上で、美しいもの、面白いものを常に拾える目を常に育てていかなくては、、と思います。それがひいてはその人の個性の形成にも繋がっていくのだ、と。

 

 

旅に出て、いつもと違う光景を見ることによって、日常生活ではなかなかフォーカスしにくい想いに深く考えを巡らすことができます。

これこそ、一番の旅の効用なのかもしれません。

短くも充実した旅でした。