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ブログ

2021.04.14

Thread colour into the past 4/23(Fri)-5/2(Sun)

2021年初めてのブログは、4月23日、金曜日から始まる展示のお話になります。

コロナは年が明けても、収まったとはとても言い切れない状況が続いています。

外出時の検温、マスク着用、指先消毒も、もはや常識となりました。

旅行も外食もなかなか思うようにはできませんが、それでも人間というのは別の楽しみを見つけて力強く生きていくものですね。

急に植物や野菜育てに目覚めた人や、読書や家で見る映画にハマる人、料理に目覚め、調理器具を一新する人、そして手仕事に目覚める人も多かったのではないでしょうか?

そう、手仕事です。

人のぬくもりが感じられる編み物や洋裁、刺繍などなど。

今回、ギャラリー久我ではじめてタイトル付きの展示を開催することになりました。

しかも刺繍という手法を使った作品展です。

Kimiyo−works主宰の倉富喜美代さんとは、拙ギャラリーでのチーズイベントにおいで下さったことがきっかけとなり、ご縁をいただくことになりました。

しばらく刺繍をなさっているとは知らなかったのですが、ひょんなきっかけから作品を見せて頂くことになったのです。

はじめてkimiyo-worksの作品を見せていただいた際の驚きと感動は忘れられません。

緻密な刺繍の中の、まず色使い、そしてなんとも言えないユーモアと遊び心に満ちたモチーフ。

kimiyo-worksの手仕事は、一般的には刺繍と呼ぶのでしょうが、私は「絲仕事」と呼びたいと思いました。

そして、ギャラリー久我で展示ができたら、、と強く思ったのです。

それはまだまだコロナで何の活動もできなかった昨年春のことでした。

ありがたいことに、倉富さん自身がこれからのあり方を変えていきたいと思われていたタイミングとも合致し、そこから私達は、 方向性を一緒に考え、あるべき姿に到達するための地場を一歩ずつ、整えてきました。

なんでも形にするためには、時間がかかります。

しかもそれは絶対に必要な時間であり、ある意味このプロジェクトがスタートしたのが昨年であったのはラッキーだったようにも思われます。

動きが止まってしまった世界の中で、逆に落ち着いて物事を考える時間が増えたのですから。

kimiyo-worksの作品展を開催する前段階としての準備が整ったのは、年を越した2021年に入ってからのこと。

今回の展示のテーマはThread colour into the past

colourがcolorでないのは、イギリス英語の表記をしているためです。

彼女の作品のどこかに、イギリスの香りがするのは、おそらく倉富さんの2度に渡る英国生活の影響が色濃いのだと思います。

しかも2度めには、ロンドン町中のmews(ミューズ)とよばれる、下が馬小屋でその上を改装したフラットにお住まいだったとのこと、そこから見えた世界観も作品に含まれているのでしょうね。

ちなみに下が馬小屋のフラット、というと何やらシャビーな感じがしますが、とんでもない!ロンドンでも屈指の一等地にしか存在しないミューズは貴族階級に大人気の物件なのです。

ですからご近所にどんな方々が住まれているか、推して知るべし、ですよね。

ミューズに住みつつ、刺繍を極められた倉富さんの経験。

そんなゆとりが生んだ遊び心と夢に満ちた作品。

私が惚れ込んだのはそこなのです。

持論ですが、本当のラグジュアリー(贅沢)はゆとりと余裕からくる遊び心が生み出してくれるもの。

こんな時節だからこそ、美しいものが見たくありませんか?

美しいもの、夢に満ちたものを見るゆったりした時間こそ、明日へのエナジーとパワーをチャージしてくれるように思います。

実際、私自身は刺繍のことは全く何も知りません。

ステッチの種類や、イギリス刺繍の特徴や、素材のことなども何もわかりません。

しかし、kimiyo-worksの作品を見たときに、すぐに「これはホンモノだ」とわかりました。

ホンモノ、とは私達にパワーをチャージしてくれる、夢のある作品だ、という意味です。

ホンモノ、って自然に私達の心を納得させてくれるものなんですね。そこになんの説明も必要ありません。

長くなりましたが、最後にタイトルに関する説明をしておきます。

Thread colour into the pastというのは、過去に糸で色を付けていく、みたいな意味です。

今回、イギリスビクトリア時代、生活用具が木製で作られていた時代、すなわち19世紀を意識しています。

この時代の木製の様々な生活用具は、イギリスではまとめて、Treenと呼ばれています。

生活用具、ということもあり、かなり幅広いモノがTreenにはあるわけです。もちろん、コレクターも多くいます。

手仕事のための道具で、実際に使用されていたTreenもたくさんあります。

今回の展示では、いくつかのTreenから落とし込まれたkimiyo-worksの作品もございます。

面白いので、作品イメージの元となったTreenも一緒に展示をいたしますので、どうぞお楽しみになさってください。

古い木をつかったTreenに絲で色付けをしていくと、kmiyo-worksの作品になり、それがThread colour into the pastになっていくわけです。

ギャラリー久我でのはじめてのタイトル付き、しかも絲仕事の展示ということで、わたしもワクワクしています。

皆様のご来廊をお待ちしております。