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2021.10.29

「線とかたち」の立役者

いよいよ企画展「線と形」のオープニングが迫ってきました。

設営もほぼ終えて、後は細かい調整が残るのみ。

出品物の各々の美しさもさることながら、ここで、その美しさを引き立てる影の立役者について記載しておこうと思います。

影の立役者とは一体何のことを指すのか?

それは台座です。


今回、毛涯さんに展示をお願いすることの決め手の一つとなったと言ってもいいもの。

それは彼のセンスあふれる自作の台座でした。


台座というのはまったくもってばかにならないもの。

いわば絵に対する額縁のようなもので、額縁がよければ絵をぐっとひきたてることができるように、同じことが台座にも言えるのです。


考古美術品は立体です。

その立体はそのままでは扱いに困ってしまうでしょう。

そこに収まりの良い台座が来ることによって、はじめて我々はその考古品をゆっくり眺めたり、お気に入りの場所において愛でることができるようになるのです。

我々が生きるモダンライフに突然考古品がやってきても、なじませるための一手間がなければ、床に転がしておくわけにはいかないし、結局は箱に入れてしまいこみ、最後には購入したことでさえ忘れてしまう状況に陥らないとは限りません。


でも、どうでしょう?

もしそこに、考古品にぴったり台座があれば?

そう、それなら我々のデスクの上に置くことも可能、窓辺に置くこともできる、などなど急にオプションが無限大に広がるのです。


考古品を買い付けてくる本人が、それに合う台座を作るのですから、良いものができるに決まっています。

台座のついた考古品はますます輝きを増しています。


聞けば、毛涯さんも、最初から台座を自分で作っていたわけではないようです。

骨董業界に台座を作る職人さんは二人ほどしかいないため、お願いしてもいつ注文を受けてくれるかわからない状態だったので、自作を決意して今に至る、とおっしゃっていました。

しかも数を作っていくうちにどんどん進化発展していかれたそうです。


毛涯さんは台座の材料に真鍮を使い、それを自由自在に染めたり、鑞付けしたりしていろいろな「モノ」が収まるすばらしい台座を作っています。

今回の展示でも彼の台座によって、良さが最大限に引き出されている出品物がたくさんあります。


展示に来廊してくださる方は是非、素晴らしい台座にも注目してみてください。


皆様のご来廊を心よりおまちしております。通常とは違い、企画展中はノンストップ、予約不要です。


企画展「線とかたち」

10/30(SAT) – 11/7(日)

11:00-18:00

ギャラリー久我にて