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2019.03.30
桜、そして思うこと
3月も明日でおしまいです。
1年の4分の1が過ぎました。また桜の季節が巡ってきました。お花見に出かけようと思いつつ連日の花冷えで出そびれ、そんなこともあり、今年は桜の枝を家に飾り、室内の花見を楽しんでおります。
最近、あらためて「わびさび」というコンセプトに思いを馳せることがあり、そこから原研哉さんの本に触れる機会が多くなり、何冊か購入し毎日楽しみながら読んでいます。
特に岩波新書の「日本のデザイン」の中に感銘を受ける言葉がありました。
抜粋して見ます。
『伝統的な工芸品を活性化するために、様々な試みが講じられている。例えば、現在の生活様式にあったデザインの導入であるとか、新しい用い方の提案である。自分もそんな活動に加わったこともある。そういう時に痛切に思うのは、漆器にしても陶磁器にしても、問題の本質はいかに魅力的なものを生み出すかではなく、それらを魅力的に味わう暮らしをいかに再興できるかである。
漆器が売れないのは漆器の人気が失われたわけではない。今日でも素晴らしい漆器を見れば人々は感動する。しかし、それを味わい楽しむ暮らしの余白がどんどんと失われているのである。
伝統工芸品に限らず、現代のプロダクツも同様である。豪華さや所有の多寡ではなく、利用の深度が大事なのだ。よりよく使い込む場所がないと、ものは成就しないし、ものに託された暮らしの豊かさも成就しない。だから僕たちは今、未来に向けて住まいのかたちを変えていかなくてはならない。育つものはかたちを変える。』
伝統的な工芸品を味わう暮らしを再興していくこと(決して伝統的な工芸品を私たちの生活に合わせるように改良することではない)、そういったものの「利用の深度」が大事であるということ。
この二点は、何も工芸品だけにはあてはまりません。
豊かな暮らしの再興、そして選んだものを深く利用していくことを私たちの心に刻むだけで日常の生活が変わってくるような気がします。
育つものはかたちを変えるーこうした心持ちが私たちの生活を変えていくのでしょう。
良いことを教えていただきました。これだから読書はやめられません。
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