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2018.12.14
TRAVELLING WITH TEA展
英陶芸家、スティーブ・ハリソンのTRAVELLING WITH TEA展は2018年12月3日のプレビューを皮切りに、12月8日まで、ロンドン Albemarle通りにあるグローブトロッター本店にて開催されました。
今回の展示は、スティーブ30年にわたる陶芸家人生の集大成とも言って良いほどの充実した展示になりました。
夕方6時からのプレビューにはサックスの生演奏が入り、 ロンドンのPostcardteasでスペシャルに用意されたスパークリングティーが振舞われ、多くのコレクターやお客様で賑わいました。プレビュー招待客はそれぞれパスポートをもらい、そこに参加スタンプをもらうといった凝りようです。
テーマは、「お茶と旅する」なのですが、この中での「旅」とは、二つの意味を表しています。まずは、具体的に茶器と「旅する」こと、そしてそれについて深く考えを巡らした時の流れそのものを,抽象的に「旅」と捉えることでした。
「お茶」の初めての体験、その昔学校の先生が作ったマグを購入し、使った後に感じた違和感から始まったスティーブの「お茶をいれる器」を自作することへのオブセッション。これがゆくゆく、「自分が満足できる機能的で美しい器とは何か?」次は、自分の器を「いかに安全に外へ持ち出せるようにして行くか?」、そして「それはいかなる形で持ち出すか?」とスティーブに課題を与えて行くことになったのでした。
課題を考えて行く中で、スティーブが出会った美しいもの達の展示もありました。それは例えば友人の持っていた古い錫のボックスであったり、日本の古い竹で編んだ茶籠、戦時中のイギリスのピクニックセットなど、それぞれがスティーブの制作にインスピレーションを与えたことがわかります。
2009-2011年制作のStill Life,そして2015年にロンドンのギャラリーで開催されたCUP BOARD展を経て,2018年、スティーブの「茶(器)と旅する」ことは、限定15セットでグローブトロッターでスペシャルオーダーしたボックスと茶器のセットが制作されたことでその終着点に到達したのでした。
このセットには、漆が施された特注ボックスに個別のエドワーディアンのキーがつけられ、中には2つのマグ、ティーポット、茶こしセット、ティーカディー、ティータオル、漆の茶さじ、そしてトレイが収められています。
イギリスには、every pot has its coverということわざがあります。本来は、人間関係の比喩として使います。
今回、この限定15セットのボックスにそれぞれのティーセットが収められている、という(本来の)意味で使われるのに、これほどピッタリのことわざはありません!
「用の美」を追求し、30年の旅を経てこの素晴らしい展示を、ある種の終着点として私たちに示してくれたスティーブ・ハリソン。今後は、この終着点からまたどんなテーマを見つけ、どんなTravelling with teaをして行くのでしょう?今後の彼の活動も楽しみです。
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